藍色の風 第37号目次
摂取塩分量を知りましょう!!
高血圧の治療では「摂取塩分量を控えましょう」とよく言います。食塩量で1日『6g』以内、1食『2g』が目安です。
「自分ではかなり減塩していると思うのに、血圧はあまり変化がありません」といわれます。がんばって減塩しているのに血圧が変化しない時、減塩は血圧降下にそれほど影響がないのであろうと考えがちです。たしかに、食塩の摂取量に比例して血圧が高くなるかといえば、すべての人には当てはまりません。食塩感受性体質の方とそうでない方がありますが、食塩感受性かどうかは食塩を負荷してみないと判断が難しいようです。
血圧上昇のしやすさは、遺伝体質、高齢者、肥満、腎疾患、糖尿病など複数の因子により決まってくると考えられています。食塩摂取量と降圧との研究では、塩分1gの減量は血圧1mmHg低下するとも報告されていますし、食塩感受性体質の方は血圧を下げるには、減塩が効果的と報告されています。当クリニックに受診されています方にも、多数の方に減塩の効果が確認されております。そこで実際の摂取塩分量を知る方法を考えてみます。
(1)食品に含まれている塩分量を目安に計算する方法
あくまで加工などによる付加塩分量の計算です。計算する時は食品の塩分表示がナトリウムでされているか、食塩で表示されてか確認し、下の式で塩分相当量に変換します。
食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷1000
(参照:ナトリウム400mgが食塩相当量約1gになります)
この方法の欠点は、実際は食べたものすべてを把握できないことと、量も正確さにかけることです。最近は食品や調味料の塩分含量などを記載した新製品の出回りが多く、この計算式での結果と食品表示とが異なる場合が有り、正確さに欠けます。あくまで推定塩分しかわかりません。
(2)夜間尿を塩分測定器で計測し摂取塩分量を知る方法
実際にこの摂取塩分量がはかれる計測機器を紹介します。(左写真)
この減塩モニターの塩分濃度測定は、塩分とカリウムを合わせたものを測定した上で、補正して塩分濃度を求めています。
方法は睡眠中の夜間尿(7から8時間)全量を容器に採取して持参してもらいます。夜間尿の回数が数回になってもすべて採取してください。
注:昼間より夜間尿が多い方は、摂取塩分量が実際より高めに出ますし、汗を多量にかかれた場合は低めに出ます。そして摂取した食塩はその日の内に排泄されず、体内に2〜3日とどまり、体内の塩分量を維持するために再吸収量を調節しています。計測も1日だけでなく、数日継続して測定するほうが平均の摂取量が分かります。ほかに、スポーツドリンクを飲まれていたり、果物摂取が多い方はカリウムが影響して測定値が高く出ます。
欠点は、尿の採取が面倒なことです。
(1)の計算方法より(2)の夜間尿測定の方が正確さの面でメリットがあります。摂取塩分量の目安がわかることにより、実践努力の目標が定まると思います。測定量は無料です。是非摂取塩分量の確認をしておきましょう。
希望される方は医師、管理栄養士にご相談ください。
【管理栄養士 藤原】