藍色の風 第28号目次
徳島市民病院 湊 省先生
2月某日、徳島市民病院に湊 省先生をお訪ねしました。湊先生も以前は赤十字病院に在籍されており、私は20年前後に渡って湊先生と一緒に仕事をしています。手の外科で高名な先生ですが現在は病院事業管理者という診療と経営の最高責任を司る難しい役職で、徳島市民病院をさらに機能を高めた地域の中核病院とすべく、奮闘されています。
当クリニックからも手や腕の異常に関してたくさんの方々を診てもらっていますが、今回は中年以降の女性に多い手指の変形に関してお話しを伺いました。
「先生、これリウマチだろか?」と診察時に手を差し出される方がよくあります。湊先生からの受け売りで、「指の先の関節から始まるリウマチはないけん、ほれは違う。」と答えます。それではこの指先の関節から始まる変形は何なのでしょうか?
1802年に英国の医師Heberden(ヘバーデン)が指先の関節の手の甲側で、しばしば両側に発生する結節について報告し、以後ヘバーデン結節と呼ばれるようになりました。指の先っぽの関節が腫れて痛みを感じるようになり、次第に形が変わってきます。たいていは2〜3年で病状は固定し痛みも無くなります。原因はよくわからず、リウマチ類似疾患と言われていますがリウマチとは異なります。更年期以降の女性に多く、親がこの状態になっている人や、仕事などで手をよく使う人に発生しやすいようです。湊先生の印象では女性の2〜3割には発生しているのではないかということでした。
原因がよくわからず痛みの程度が軽いこと、また症状の進み方が緩やかで生活の障害程度が少ないことから、痛み止めや湿布などのその場しのぎで対応しているのが現状のようです。
ヘバーデン結節以外にも手や腕の異常に関して専門的な診療をご希望の方は湊先生に紹介致します。お申し出下さい。なお、湊先生は今年の3月末で病院事業管理者の職からはご勇退されますが、徳島市民病院整形外科の外来はそのまま続けられます。
湊 省先生:竹内看護師の看護学校時代の担任でした。】 |
【坂東】