CKD(慢性腎臓病)に注目!!
⇒腎臓を守ることは、心臓や脳を守ること!! 

『藍色の風』第13号の巻頭に記載されていたCKD(慢性腎臓病)を再度振り返り、尿検査・腎機能の結果を元にご自分の腎臓の状態を知り、腎臓を守ることに役立てて頂けたらと思います。
CKDは、腎臓の機能が低下し、腎臓が障害をおこした状態です。初期の段階では、自覚症状がなく、腎機能がかなり低下してから、高血圧・貧血・高カリウム血症・骨ミネラル代謝異常・・があらわれるので、できるだけ早期に発見する必要があります。

【腎臓の働きとは】
腎臓は腰の辺りに2個あり、ソラ豆のような形をした握りこぶしくらいの大きさの臓器です。体内で生じた老廃物は、血液によって腎臓に運ばれ、腎臓の中にある網目のような構造をもった糸球体で濾過されて、尿として体外に出ていきます。この濾過機能は糸球体にかかる圧力によって調節されています。腎臓病があると、糸球体の網目が詰まって濾過機能が低下し、圧力をかけて何とか濾過しようとするために高血圧になります。また、腎臓病がなくても高血圧が長く続くと、糸球体の細い動脈に硬化が起こり、濾過機能が低下します。他には、体液のナトリウム・カリウムなどのミネラルのバランスを保ったり、血液を造るホルモンを分泌したり、骨を健康に保ったり・・と腎臓には多くの働きがあります。

【腎機能を調べるには
腎機能の低下は、尿検査によるタンパク尿の有無、血液検査による血清クレアチニン値により判定されます。また、CKDの進行度は、糸球体濾過量(GFR)を推定した推算GFR(eGFR)によって判断します。

推算糸球体濾過量(eGFR)とは、糸球体が1分間にどれくらいの血液を濾過して尿を作れるかを示す値です。健康な人では、eGFRは100mL/分/1.73u前後ですが、タンパク尿がなくても、60mL/分/1.73u未満が3ヶ月以上持続していれば腎機能の低下は明らかでCKDと診断されます。慢性腎不全・血液透析の段階では、15mL/分/1.73u未満まで低下してしまいます。また、90mL/分/1.73u以上あっても、高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満・喫煙などのCKDになりやすい危険因子をもっている人はハイリスク群で注意が必要です。eGFRは、血清クレアチニン値・性別・年齢によって簡単に調べることができます。ご自分のeGFRがどれくらいかは医師にお尋ね下さい。

血清クレアチニンとは、腎臓から尿に排泄される代表的な老廃物で、腎機能が低下するにつれ血液中に増えてきます。クレアチニンそのものは有害ではありませんが、その濃度は腎機能の健常度を表す目安になります。クレアチニンの生産量は筋肉量と相関しているため男女差があります。したがってクレアチニンの数値はその人の体格も考慮して判断しなくてはいけないので、小柄な人が基準内であっても腎機能が低下している場合があります。

タンパク尿とは、多くの場合、血液中を流れるタンパク質の一部が糸球体で濾過される際に漏れ出てしまうことから発生します。タンパク尿があれば、糸球体の病気が存在すると考えることができます。腎臓病の場合、尿に最も早く異常が出るので、中でもタンパク尿は早期発見の重要なサインです。しかし、健康な人でも激しい運動後、発熱時、長い間立っていた時などは、わずかにタンパクが出ることがあり、これは病気ではありません。尿タンパクが繰り返し陽性になる場合は腎臓に異常があることがあります。特に、タンパク尿と血尿がともに陽性、またはタンパク尿が多いほど腎臓病が進行する危険が高いと考えられています。ご自分、ご家族の腎機能はいかがですか??

CKDは、心筋梗塞や脳卒中などの重大な危険因子になっています。腎臓を守ることは、心臓や脳を守ることにもつながります。是非、CKDの発症・進行予防に努めて下さい。

[CKD診療ガイド 日本腎臓学会編参照] 

【臨床検査技師:田中・宮原】