藍色の風 第32号目次
気候と身体
今年はほのぼのとした春の暖かさを感じる間なく梅雨入りし、ゲリラ豪雨が終わったと思えばスーパー猛暑で、この冬はどうなるのでしょうか?
人の身体は、気象(気温・湿度・気圧)の変化に対して調整機能を発揮しますが、その調整能力が不十分な場合や急激な気温の変化で体調を崩すことがあります。特に「寒い冬」は大問題です。そこで今回は気候と身体の関係についてお伝えしたいと思います。
【気象病と季節病】(病名ではありません)
- 気象病:
気象(気温・湿度・気温)が、短時間のうちに変動するのにともなって発病したり、病状が悪化したりする一連の病気。
心筋梗塞・狭心症・高血圧・不整脈・脳卒中・リウマチ(関節痛)・神経痛・気管支喘息・頭痛など - 季節病:
特定の季節に発生しまた季節的流行の形をとったり、死亡率が高くなったりする病気。
インフルエンザ・花粉症・食中毒・熱中症など
上記区別はありますが、病気によっては両方の特徴をかねそなえているものもあります。どのような気象変化が身体に影響を与えているのかというメカニズムについては@前線(低気圧)の接近に伴い痛みの原因となるヒスタミンやヒスタミン様物質が活性化されるA気象変化が自律神経に影響する(副交感神経・交感神経の亢進)B変化そのものをストレスと感じる、などの諸説があります。現在証明されているのは、前線の通過前後より通過時に発作や症状が起こりやすいことです。
これから特に気をつけていただきたいのは血圧です。⇒寒くなると血圧上昇!
体は体温を一定に保つために、暑い時は体の表面に近い細い血管(末梢血管)を広げて、血液を多く流し熱を効率的に体外へ逃がしますが、寒い時は血管を縮めて逃げないようにします。このような働きは自律神経によって行われ、交感神経が活発になると血管は縮み、副交感神経が活発になる広がります。血管が縮んで細くなると、その血管に血液を流そうとして、心臓は大きな力で血液を送り出さなくてはなりません。そこで、血圧は必然的に上昇します。大きな力を必要とする心臓は負担が増えて不整脈が誘発されたり、送り出された血液が血管の壁に強く当たることで血管にダメージを与え、動脈硬化を促進させたりします。さらに進行すれば心筋梗塞や脳卒中などの危険も高まります。急激な温度変化は避け、冬場の血圧管理に気をつけて下さい。
私たちの身体は自然に気象の影響を受けています。特に、異常気象が続く近頃では大きな気象変化が起こりやすくなっています。予防・対策も必要ですが、「温暖化防止!地球に優しく!」といったことに取り組むことも私たちの身体への優しさにつながりますね。
〔参考:加地正郎『人間・気象・病気』(NHKブックス)他より〕
【検査技師:田中・宮原】