藍色の風 第33号目次
減量で膝の痛みが治った!!
膝に痛みはありませんか?その膝の痛みが原因で運動量が減っていませんか?
クリニックに通院される方のなかに、減量で膝の痛みが治ったと喜んでいる方も増えてきました。私たちにとって立ったり座ったりという動作は欠かせません。これらの動作を支えている要となる大切な部分が「膝」です。歩けるうちは元気だったのに、足を怪我して寝たきりになったケースが私の身の回りにもたくさんあります。「自分の力で歩ける」という事は健康な人生を送る上で大切な事なのです。 スポーツなどで物理的に膝を痛めてしまった場合を別にすると、膝(ひざ)の痛みの原因は、そのほとんどが「老化」と「日常生活の悪習慣の積み重ね」によるもので、変形性膝(しつ)関節症と言われています。
変形性膝関節症とは、太ももの骨である大腿骨とすねの骨である頸骨をつなぐ関節内に存在する軟骨が擦り減り、炎症を起こす膝の病気です。老化による場合が最も多いのですが、 次に多いのが運動不足による膝周囲の筋肉量低下、さらには体重増加による膝への負担増加が挙げられます。O脚、X脚などでは部分的に強い圧力がかかって膝が痛むことも多いようです。ほかに膝が痛む原因としては、スポーツ、特殊な仕事や事故(打撲、怪我など)、リウマチ、自己免疫疾患、また橋本病などの内科疾患もまれにあります。
ではなぜ変形性膝関節症が起こりやすくなるのでしょう。年をとって筋肉が衰えると膝の一部に負担がかかるとともに、軟骨も老化するためです。70〜75歳の人で膝のレントゲン写真を撮ると、5割以上の人に膝の障害がみられると報告されています。次の原因は肥満です。歩くときは、体重の3〜5倍の重さが膝にかかります。足がまっすぐな人は体重を膝全体で支えますがO脚の人の場合、膝が体の中心から外にずれていて、膝関節全体で体重を受けることができず、膝関節に変形が生じます。中高年者、膝の筋肉が弱い女性、肥満の人、O脚の人等が変形性膝関節症になりやすくなります。
治療はまず、関節への負担を軽減させることです。肥満の人(BMI法で診断)は体重が正常範囲になるよう体重を減らしましょう。初期の場合、膝の筋肉を強化する運動療法や生活環境改善によって、膝の痛みが解消する場合が多いと言われています。症状が進んだ場合、温熱療法や装具療法、薬物療法(抗炎症薬、湿布薬、関節内へのヒアルロン製剤の注入等)、関節内洗浄法などを、重症になれば手術療法が選択されます。内服薬としてヒアルロンサン、グルコサミンなど飲んだだけで解消できるものでないことはお分かりと思います。最近も減量で痛みがなくなった方がありましたが、病状が進んだひとでも体重減少は痛んだ膝関節にはよい影響を与えると思います。
体重の管理のために標準体重の計算法を記します。BMI法といって肥満の判断基準(体重の目安)につかっています。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例えば身長160cm 体重70kgの人の場合
70÷1.6÷1.6=27.3 (25以上で肥満)
BMIは18.5以上25未満が標準ですが、最も病気になりにくいBMIは22とされており、25以上になれば肥満と言われています
膝の痛み・関節痛を予防する方法は、肥満を解消し、関節を強化する体操を継続することですね。膝の関節に最も負担をかける肥満を解消させるには努力を要しますが、お手伝いいたします。食事と運動(ウォーキングなど)を組合せて、無理の無いダイエットをしましょう。関節を強化するには、膝関節周囲の筋肉を鍛えなければなりません。膝に痛みがある方は整形外科で診察を受け、原因を確かめてからその方法を指導してもらって下さい。ウォーキングなどの軽い運動は血行をよくし、関節の曲げ伸ばしを楽にする効果があり、ストレス解消にもなるのでおすすめです。「食事の調整と運動によって体重が減ったら膝の痛みがなくなった」という声がさらにふえますように。そして快適な老後を過ごせますように願っています。
【管理栄養士 藤原】