藍色の風 第15号目次
夜の排尿回数
寝ついてから尿の回数が多いと訴えられる方がよくあります。血液をサラサラにするためにと、日中や寝る前にたくさんの水を摂取する人によくある症状であることは『藍色の風第10号』でお知らせしました。この水の多飲以外に、夜間頻用の興味ある原因がありました。
70台女性です。水をたくさん飲むわけでもないのに、夜トイレに3回は起きると訴えられました。トイレに行くたびに尿の量は多いとのことです。女性ですので前立腺肥大の問題はありません。腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮する機能が悪くなり薄いおしっこが作られ、夜間の尿量が多くなることがあります。このことは否定しきれなかったのですが、私には気になることがありました。それは寝ついてからの血圧が高いのではないかという疑いです。この方は高血圧症で治療を続けていましたが、「めんどくさい」ということで家庭血圧は測定されていません。外来の血圧は比較的良好なのですが、就寝時の血圧コントロールがうまくいっていないかもしれないと推測しました。
朝に服用していた降圧剤(カルシウム拮抗剤)を夕食後に変更するよう勧めました。寝ているときに高い血圧であると、腎臓の濾過圧が強くなり尿の生成量が増加すると疑ったのです。一ヶ月後に来院されたとき、夜間尿の回数を伺いましたが、「血圧の薬を夕方に飲み始めてから、寝ついてのトイレは1回になった。」といわれました。私の読みがあたりました。夜間頻尿の原因がすべて夜間高血圧とは思えませんが、一つの原因にはなります。夜、きちんと睡眠をとることが翌日のしっかりした活動には必要です。夜間頻尿で睡眠をうまくとれないときには、何が原因か、考えて対応策をとるようにしましょう。私や看護師にご相談下さい。
【坂東】