藍色の風 第15号目次
板橋興宗禅師のお寺を訪ねました
【片岡鶴太郎氏と板橋興宗禅師】毎日新聞社
先日所用のため福井県を訪れました。少し自由になる時間があったため、以前から手紙などをやりとりしている板橋興宗禅師のお寺を訪ねました。
板橋禅師は曹洞宗総持寺貫首、曹洞宗管長などを歴任後、現在は越前市で御誕生寺の住職をされています。夜の8時過ぎから修行僧に混ぜていただき、初めての座禅に参加しました。そのあと別室で1時間ほどお話を伺いました。
クリニックのこと、体作りのことなどお話ししたあと、タクシーを呼んでいただき、お暇しました。タクシーに乗り、お世話になりましたと挨拶すると、禅師は薄暗がりの中で合掌しながら頭を垂れ、私を見送っておられます。タクシーが境内を離れ、坂道を下り始めた時、再度後ろを振り向いてみると、まだそのままの恰好で私を見送ってくれています。高僧と崇められる人が、このような見送りの仕方をされるかと驚きました。
ガソリンスタンドではマニュアル的に長時間のお辞儀をする店員さんはいますが、今回のような暗闇の中ではお辞儀をしようが、合掌をしようが傍目にはわかりませんし、相手にも定かには見えません。しかしなおかつ、このように、長時間、頭を垂れて合掌し続ける姿勢に感銘を受けました。
心を律するときに身や型を整えるという方法があります。今回はその、恰好の例を体験し、また一つ教えていただいたと思いながら帰途
につきました。
【坂東】