藍色の風 第22号目次
よい食事って?
よく聞かれる会話に次のようなものがあります。「バナナって栄養があるんだってね」。「ごま,玉葱もいいんだってね」。次々と食品の名前を挙げ、栄養があるといって過剰に摂取されています。糖質は頭が働くために必要だといって、砂糖をたくさん摂られている方もあります。こういった行為は栄養と栄養素の概念が混同されることから起こります。特定の食べ物で健康上の問題が解決されると考えるのは、針の穴から天を覗くようなものです。食事の全体像が見えていません。食事全体から栄養バランスを考えなければなりません。
※よい食事とはどのような食事をさすのでしょうか?
私たちの身体では、古くなったものは絶え間なく分解され、新しいものに入れ替わっています。新たに体の構成要素となるものは、食事として摂る食べ物の栄養素によって作られます。食べ物の栄養素を上手に組み合わせることにより、相加作用、相乗作用が働き、個々の栄養素以上の効果が発揮されます。バナナ、ごま、玉葱、また砂糖等も特定の栄養素の食べ物です。ひとつの食べ物ですべてを補う事が出来るものはありません。それぞれの特徴を持った食べ物を組み合わせ、食事というまとまった形で必要な栄養素を上手に摂取していく必要があります。木を見て森を見ずになってはならないのです。よい食事とは、いろいろな栄養素の組み合わせをバランスよくしたものを指します。
それでは「バランスのよい食事」のバランスとか、食べ物の割合とかは何を根拠にしているのでしょうか?私たちの体は水分(63%)糖質(1%)たんぱく質(15%)脂質(15%)ミネラル(6%)等の成分で構成されています。エネルギー源の糖質は少量しか蓄えることが出来ません。だからご飯という糖質の多い食べ物を主食として一番多く補っています。つまり、バランスのよい食事の割合とは体の構成成分の割合と同じようにすればよいことがわかります。エネルギー比で計算すると糖質(60%)蛋白質(15%)脂質(25%)となります。このように食事をすれば、身体は効率的に利用できるようになっています。
※具体的にどのように組み合わせていけばその割合が保てるのでしょうか?
沢山の食べ物を調理し、図のように組み合わせて1日3回の食事という形で摂ってください。果物、牛乳も適量です。できるだけ多くの食べ物を利用するほど栄養素のバランスがよくなります。(個人差がありますので詳細は食事相談でお尋ね下さい。)
食事は文化です。楽しみの一つでもあります。しかし、だからといって偏った食事に陥っては健康上の問題が起こります。あやまった食事をとり続けることで生活習慣病を起こしている方も少なくありません。「不安だから特定の栄養のある食べ物、サプリメントを‥」と言った情報に惑わされている方も多くみられます。元気な体作り、そして元気で長生きをするために、改めて食事をする意味を考え直してみましょう。食事をこの基本のパターンに組み合わせて、よい食事を楽しんでください。わからないことがありましたらいつでも食事相談室へおいでください。
【管理栄養士 藤原】