藍色の風 第22号目次
「嘘も百回言えば真実になる。」
「嘘も百回言えば真実になる。」と言われます。嘘をつく本人だけでなく、それを聞いている周囲の人達も、何度も同じ事を言ったり聞いたりしていると、ことの真偽を確かめることなく、そのことを信じてしまうのでしょう。
嘘に限らず、キャッチフレーズにも同じようなことが言えそうです。キャッチフレーズを繰り返して聞いていると、それが耳に残り、思想や行動にも影響を与えます。テレビやラジオのコマーシャルにもその種の影響力があると思います。
最近気になっている言葉に「百年に一度の金融危機」というフレーズがあります。何かにつけ、「百年に一度の金融危機なので‥」という枕詞がついています。こういった言葉を繰り返していると、聞いている方は「百年に一度の金融危機だったら、仕方がないか‥」といった反応を示しているように感じます。百年に云々という言葉はグリーンスパン前FRB議長が言い出したようですが、それはあくまでも彼個人の意見であり、それが一人歩きして全世界で使われていることに、少なからぬ危惧を抱いています。
いろいろな状況で手詰まりになったとき、「百年に一度の金融危機だから‥」という言葉が反論や対策を諦めさせているように感じるのです。状況分析さえ放棄させているように思います。百年だろうが、千年だろうが、困っている状況は改善するべく、手を打たねばなりません。このような曖昧な枕詞は使わず、現状を詳しく分析して対策を立てるべきです。
先生は海軍出身ですかと尋ねられ、絶句したことがあります。私は昭和28年生まれですので第二次世界大戦を経験していませんが、この「百年に一度の金融危機だから‥」という言葉が頻繁に使用さているのを聞いていると、「戦時中だから‥」「欲しがりません勝つまでは‥」といった言葉が飛び交い、状況分析を放棄してしまった時代を連想してしまいます。皆さんはいかがでしょうか?
【坂東】