藍色の風 第34号目次
血管の健康状態を頸動脈エコーで診る
動脈硬化は知らない間に進行!!
血液検査でコレステロールや中性脂肪の異常を指摘されることがあると思います。LDL(悪玉)コレステロールが高い・HDL(善玉)コレステロールが低い・中性脂肪が高いことを「脂質異常症」と言います。この「脂質異常症」は動脈硬化の危険因子の一つです。「糖尿病」・「高血圧症」などもその要因ですが、それぞれの疾患に応じて一定の症状が出現します。しかし「脂質異常症」はどんなに異常の度合いが大きくても、動脈硬化が進行して血管の内腔が著しく狭くなったり詰まったりして狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・閉塞性動脈硬化症などを発症しないかぎりは、身体にサインを送ってくれません。そこで動脈硬化の早期発見のために頸動脈エコー検査を行います。悪玉コレステロールが高い方に院長が頸動脈エコー検査を指示しているのはこのためです。
頸動脈は『全身の血管の窓』!!
首筋を走る頸動脈は、動脈硬化の好発部位であり、体表に近く血管径も比較的太いため観察しやすいのです。頸動脈に動脈硬化などの変化があれば、他の部位にも同様の変化があると推定されます。
頸動脈エコ−は、人体に無害な超音波を使って血管を描出し、血管壁の肥厚度や内腔の状態を観察し、視覚的に動脈硬化を診断する検査です。痛みや被曝がなく、動脈硬化の早期発見や、さらに硬化病変の進行・退縮を知ることができ、食生活の改善や運動療法、投薬による予防・効果を診るのにも有用です。
頸動脈の壁も老化現象として健康な成人でも徐々に厚くなりますが、「脂質異常症」・「糖尿病」・「高血圧症」・「喫煙習慣」などの危険因子がなければ壁厚1.1mmを超えないと言われています。
動脈硬化の危険因子は生活習慣と関連が深いものがほとんど。予防の基本も治療の基本も、生活の改善が第一です。
【検査技師:田中・宮原】