<痛風>〜食も飲も運動も適度が一番!〜

痛風の原因は?

痛風は、「尿酸」が血液中に過剰に増えることでおこる病気です。尿酸は体内で「プリン体」と呼ばれる物質が分解されてできた老廃物です。プリン体は動植物の細胞の核や染色体の中にある、遺伝に関わる核酸という物質の成分です。プリン体は食事から摂りこまれるだけではなく、新陳代謝によっても産生されます。そして、肝臓で代謝されて尿酸になります。この尿酸は、腎臓で老廃物となり、尿とともに排泄されます。しかし、排泄できる量を上回ったり、排泄機能が低下したりして体内に残ってしまうと、血液中の尿酸濃度が高くなります。  

この状態が長く続くと、尿酸は溶けにくい物質なので尿酸塩という結晶になって関節や腎臓に溜まります。関節に溜まり関節炎を起こした状態⇒痛風発作で『風がふいても痛い!』と表現されるものです。過剰な尿酸が腎臓で処理されずに結晶化し溜まると腎障害を起こしたり、尿路結石ができたりとさまざまな合併症を起こします。

尿酸値は?高いと・・?

尿酸値は血液検査でわかります。年齢や性別によって多少変動があり、男性で4.0〜6.5mg/dl・女性で3.0〜5.0 mg/dlが正常と言われています。男女ともに、7.0 mg/dl以上になると『高尿酸血症』と呼ばれます。『高尿酸血症』=『痛風』ではなく、痛風予備軍です。8mg/dl以上は薬物治療が必要となることもあり、6mg/dl以下をめざします。これを尿酸値コントロールの「6−7−8ルール」と言います。『高尿酸血症』はなりやすい体質や性別、食生活などによって引き起こされます。痛風予備群は圧倒的に男性が多いとされています。それは、女性ホルモンに腎臓からの尿酸の排泄を促す働きがあるからで、閉経後に尿酸値は上昇してきます。また、高尿酸血症の人が脂質異常症、高血圧、糖尿病などの合併症をおこしていることも少なくありません。心疾患や脳血管障害のリスクも高くするので気をつけて下さい。

食べすぎ・飲みすぎ・激しい運動に注意!


【福ビルしばふビアガーテン 】

痛風の予防・改善は、これまで肉・貝類などのプリン体の多い食品の摂取を減らすように言われていましたが、最近では変化しています。食べ物や飲み物によって作られる尿酸は、全体のおよそ4分の1で、プリン体は体内で多くつくられ肝臓で尿酸になっているため、食事からの影響はあまり大きいものではないとされています。しかし、偏食・過食に注意しバランス良く・ほどほどに!を心がけて下さい。アルコールの過剰摂取も禁物です。
(1)お酒自体に尿酸が含まれている。
(2) アルコールは、肝臓でプリン体が作られるのを促進する。
(3) アルコールが体内で分解される時に、アセトアルデヒドという物質が作られ、これが尿酸の排泄を妨げる。
(4) アルコールの利尿作用で脱水を起こしやすくなり、尿酸値を上げる。
など、アルコールに尿酸値を上昇させる作用があるため、プリン体99%カットの発泡酒なども開発されましたが、ビール以外でも飲みすぎには注意です。アルコールは全般に食欲を増進し、暴飲暴食のもとになりやすいのでほどほどに。また、運動不足・肥満解消のための運動も痛風の予防・改善につながりますが、過度の運動は、体内で一時的に尿酸値が上昇し、その運動によって筋肉で作られた乳酸によって排泄が抑制され、体内の尿酸が増加します。また、大量に汗をかくことでも血液が濃縮されて尿酸値は上がります。運動もほどほどに・・です。

夏には脱水と美味しいビールの影響で尿路結石や痛風発作が多いと言われています。まさにその季節に突入です。くれぐれもお気をつけ下さい。

【検査技師:田中・宮原】