藍色の風 第31号目次
下肢静脈瘤(かし じょうみゃくりゅう)
足の静脈を分類すると、足の表面を走る表在静脈(大伏在静脈と小伏在静脈の2本)と足の奥深くにある深部静脈、表在静脈と深部静脈とを結ぶ交通枝という三種類に分かれます。足の静脈血の90%前後は深部静脈を流れ、残りの血液が表在静脈を流れて心臓に帰ります。下肢静脈瘤とは、足の静脈が太くなってコブ状に浮き出た状態をいいます。下肢静脈瘤の発生方法には二種類あります。一つは、表在静脈の内部にある一方向弁がきちんと閉じなくなって発生する原発性(一次性)静脈瘤で、もう一つは深部静脈の閉塞や狭窄が原因で発生する続発性(二次性)静脈瘤です。普通、皆さんが目にする下肢静脈瘤はそのほとんどが原発性(一次性)静脈瘤です。
■ 正常の場合
下肢静脈を通って、足先から心臓に向かって血液は帰ります。静脈内には上に運ばれた血液が下に向かって逆流しないように、たくさんの逆流防止弁があり、この弁があるために立ったときに血液が逆流しないようになっています。
■ 静脈瘤の場合
静脈瘤の多くは表在静脈の中にある弁が壊れた結果、立った時に逆流が生じて、足の先の方に血液が下がり、静脈内の圧力が増して静脈が拡張していきます。その結果、血管の弱い所がコブ(静脈瘤)になり、蛇行してしまいます。
◆ 下肢静脈瘤の原因
静脈弁が壊れる原因の多くは不明ですが、長時間にわたった立ち仕事による下肢静脈圧の上昇が最も多いようです。警備員、寿司屋やデパートの店員さんなどに見られやすいのですが、同じ職業でもならない人も多く、基礎に遺伝的な静脈弁の弱さがあると指摘されています。その他、外傷による静脈弁の破損が挙げられています。下肢静脈瘤の発生頻度は年齢が高くなるほど、多くなります。間接的な原因としては、肥満があげられます。
◆ 静脈瘤の分類
(静脈瘤画像はベノネット高須クリニックHPから引用)
(1)伏在静脈瘤
大小伏在静脈本幹およびその主要分岐に発生する静脈瘤で太い瘤を形成する。
足の付け根や膝の裏で、伏在静脈基部の弁に逆流が生じていることが多い。
(2)側枝静脈瘤
伏在静脈より末梢の静脈に発生し、孤立性のこともありやや細い。
(3)網目状静脈瘤
2〜3mmの静脈の拡張で、青色の網目状のものが多い。皮膚の直下にみられる。
(4)クモの巣状静脈瘤
径1mm以内の皮膚内静脈瘤。紫紅色のクモの巣のようにみえる。
★ 網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤は美容上の問題があるだけで、足のだるさや重さなどの症状は伴いません、
◆ 静脈瘤の症状(最初は無症状であることが殆どです。瘤が大きく、広範囲に及ぶにつれて症状が出現してくるようになります)
(1)外見上、美容上の問題
(2) 足がだるい、重い、痛い、痒い、浮腫む、疲れがとれにくい、つる。
(3)皮膚炎・湿疹
(4)皮膚の色素沈着、皮膚硬結、潰瘍
★★★、静脈瘤は、人間が立ち歩行(二本足歩行)をするようになってから発生したもので、腰痛・肩こり・胃下垂などと共に、人間に与えられた宿命の病と言われていますが・・・。
現代人は、交通機関の発達のせいで慢性的は運動不足の人が多く、また飽食の時代を反映して肥満の人が増え、下半身への負担が増えていることなどから、下肢静脈瘤発現に拍車をかけているのではないかと思います。
※次回の藍色の風(32号)では、静脈瘤の治療法、家庭でできる補助療法についてお伝えします。
参考文献:【あしの静脈瘤は治せる ・下肢静脈りゅうを防ぐ・治す ベノネット高須クリニック、
東宝塚さとう病院 各ホームページ】
【看護師:長尾・竹内・速水・立石・阿部】