血圧の薬を飲まなくてもよくなりました!(血圧編)

今回はクリニックでの食事相談で、減塩による血圧の低下を体験された方を紹介します。前回報告しましたダイエットはなかなか思うように効果が出にくく時間がかかるのが現状です。しかし減塩は比較的早く効果を感じられ、実践しやすいと言われています。

初診日 :平成21年1月 50歳代 女性 身長151cm、体重51.9kg 
主 訴 :夜寝る前に動悸があり胸が苦しい。足がガクガクするような症状が2時間位続いた。
現病歴 :平成18年に手術適応ではない大動脈弁逆流を他院で指摘された。50歳代前半より血圧が高く内服治療を受けたことがあったが中止した。2年位まえから血圧が高く、最近も150mmHgと高い状態が続いているので相談のために受診。
診 断 :大動脈弁逆流を伴う高血圧症
治療方針:二週間計測した家庭血圧は170mmHg前後と高いため降圧剤を開始。同時に食事調整も開始。翌日から血圧の低下が出現したため降圧剤は中止し食事調整のみで経過観察。
初回食事相談:自分で勉強しているのでカロリー計算はできる。味付けは辛いのが大好き。漬け
物が大好きだが食べないようにしているが血圧は下がらない。減塩しているつもりだが…。果物
は大好き。中性脂肪も高い。
・ 努力はされているが摂取塩分量を推定すると体に入る塩分量は約10g。1日の目安塩分量6g
・ を目標に再度チェックを指示。また果物摂取量が目安の3倍。可能な範囲で控えるよう勧めた。
・ 調味料の塩分量(下図参照)を示す。目安は1食2g。どれか2つ分です。

実践経過:「食事だけで血圧は下がるはずがないと思ったが、指導を受けたとおり減塩を実践してみた。なんとすぐ下がった。嘘みたいに下がった。血圧の下がりすぎが怖いので降圧剤は中止した。」(右図参照)・・・あまりに効果が早かったので逆にどんな食事されたのですかと聞くと、かけ醤油は一切使用しなかったと。塩分制限(3〜4g)を確実に実践されていた。食事内容も野菜中心。弁当も持っていくが醤油はわざと持っていかなかった。果物も減った。減塩はもとより、非常によいバランス食に改善してきていた。中性脂肪も減って正常範囲に改善。体重も初回より4.0kg減った。順調ですといわれ3回で食事相談はストップした。その後、動悸もほぼ消失し、受診は三ヶ月ごとに延長された。

患者の声:「涙が出るほどまずかった。こんな食事を続けなければならないと思ったらぞっとした。しかしすぐ効果が見え血圧が130台になったことがうれしかった。それで継続できた。数ヶ月後、まずかったと思っていた味付けが気にならず、野菜などそのものの味がわかりおいしく感じる。とにかく薬がいらないのがうれしい。今の状態を維持するのが目標。クリニックへ行くのも3ヶ月間隔でよいといわれています」

今回の方法は、これまでに食事調整で血圧低下を体験された方の方法をお教えしただけです。調味料を使わないように努力を重ねた結果が習慣になり、今も降圧剤は使用せずに上手に血圧管理されています。減塩は出来ていると信じて疑わない方でも、減塩が出来ていなかったりすることはよくあります。うす味の食事にしていてもたくさん食べれば摂取塩分は多くなります。塩分が含まれていると知らずに、思わぬものを食べて塩分過剰摂取になっていることもあります。減塩しても効果を実感できない方は食事の全体量をチェックしてみましょう。

 【管理栄養士:藤原】