設計コンセプト
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クリニック外観 |
「クリニックはむくの木や漆喰で造った木造がよい。鉄筋コンクリートやプレハブ作りでは なく真壁造りの木造がよい。」理論ではなく私の感性、嗜好であった。クリニックで手術をす
るつもりはなかったため、木造の施設でも何ら問題はないと予測した。
建築にあたって純粋な木造診療所を探したが、なかなか見つからなかった。鳴門市に一軒あると聞き訪ねた。休日にも関わらず「あい愛診療所撫養」の小川先生がご案内下さった。むく
の杉材を使用した施設で、一般の診療所にデイケアー施設が併設されており、非常に落ち着いた病院であった。木造づくりの欠点をお伺いすると、男性用トイレで尿が飛び散ったりすると
手早く掃除しなければ床の木に臭いが移りやすいことを挙げられた。この種の問題は何とか対 処できると判断した。
木造建築に造詣の深い一級建築士である佐藤幸好氏(https://tokushima-kinoie.com/?p=111)と巡り会えた。病院建築に関して、これ まで私が暖めてきた数々の想いをすべて彼にうち明けた。メールでのやりとりや実際に会っての協議が何十回続いただろうか。細部に渡る私のこだわりに一つ一つ応えてくれた。議論に議論を重ねて今回の施設が出来上がった。私達の工夫とその機能をお披露目したい。なお、地元林業の振興にも一役買えると考え、徳島県上勝町の杉材を使用して建築することとした。施工 は北島建設に依頼した。建設用地は300坪の借地であり、自分の診療に必要な部屋を想定し、構造を考えていった。
「このクリニックに来るだけで病気が治ったと思うことがある。」といって下さる患者さんがいる。もちろんスタッフの頑張りの賜ではあるが、木造のクリニックが醸し出す雰囲気には非常に柔らかなものがあり、私達の仕事にも好影響を与えてくれている。
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